
新規事業を立ち上げるとき、多くの人がこう考えます。
「ちゃんとしたSaaSを入れれば、事業は“正しい形”に近づくはずだ」
でも現実は逆です。
SaaSを入れた瞬間に、新規事業の失敗確率が上がるケースは珍しくありません。
これはSaaSが悪いからではありません。
「入れるタイミング」と「前提条件」がズレているからです。
この記事では、
- なぜSaaS導入が失敗の起点になるのか
- どんな状態だと「今は入れない方がいい」のか
- 逆に、入れていい条件は何か
を、構造的に整理します。
おすすめツールやランキングは出てきません。判断のための考え方だけを書きます。
SaaS導入が「安心」に見えてしまう理由
新規事業の現場は、常に不確実です。
- 売れるか分からない
- 再現性がない
- 人も時間も足りない
そんな状態でSaaSは、「正しそうな何か」として目に入ります。
- MAを入れればマーケが回る気がする
- CRMを入れれば営業が整理されそう
- 分析ツールを入れれば改善できそう
つまりSaaSは、不確実性を“道具”で解決できる錯覚を与えます。
ここが最初の落とし穴です。
新規事業におけるSaaS導入・3つの失敗パターン

① 課題が言語化されていないまま入れる
よくある状態です。
- 「なんとなく必要そう」
- 「他社も入れている」
- 「上から言われた」
この時点で、SaaSは課題解決ツールではなく、置物になります。
SaaSは
「◯◯という課題を、△△という方法で解決する」
という前提がないと、ほぼ機能しません。
前提が曖昧なまま入れると、
- 設定が決まらない
- 運用ルールが作れない
- 結局使われない
という結末になります。
② 業務が固まる前に“仕組み”を固定してしまう
新規事業では、業務フローは毎月変わるのが普通です。
- 誰がやるかが変わる
- 売り方が変わる
- KPIが変わる
にもかかわらずSaaSは、
- 項目
- 権限
- フロー
を最初に固定することを要求します。
結果どうなるか。
- ツールに業務を合わせる
- 本来いらない作業が増える
- 「一時的な仕様」が恒久化する
スピードが必要な新規事業で、一番やってはいけない状態です。
③ 「後で捨てるコスト」を考えていない
ほとんどの導入判断で、撤退コストが無視されます。
- データ移行
- 運用フロー
- 社内説明
- 学習コスト
SaaSは一度入れると、やめる理由を作る方が難しい。
結果、
「微妙だけど、もう使ってるし…」
という状態で意思決定が止まる。
これは新規事業にとって、致命的です。
「今はSaaSを入れない方がいい」状態とは
以下に1つでも当てはまるなら、SaaS導入は“今じゃない”可能性が高い。
- 課題を1文で説明できない
- KPIが3ヶ月単位で変わる
- 業務をExcelで説明できない
- 人が固定されていない
- 検証スピードが最優先
このフェーズでは、
- Excel
- Googleスプレッドシート
- Notion
- 手作業
の方が、圧倒的に強い。
理由は単純で、「すぐ変えられる、すぐ壊せる、誰でも触れる」からです。
じゃあ、SaaSを入れていいのはいつか?
逆に、入れていい条件も明確です。
✔ 課題が具体化されている
- 何が詰まっているか説明できる
- 「これを減らしたい」が言語化できる
✔ 業務フローが3ヶ月以上安定している
- 担当・手順が大きく変わらない
✔ 捨てる前提で選んでいる
- 「半年後に変える可能性」を織り込んでいる
✔ 代替手段を把握している
- 他ツール/非SaaSの選択肢を理解している
この状態なら、SaaSはレバレッジになります。
SaaS導入は「成功」より「壊しやすさ」で選ぶ
新規事業では、
- 正解を当てること
よりも - 間違えたときに早く戻れること
の方が重要です。
その視点で見ると、良いSaaSとはこう定義できます。
- データを簡単に吐き出せる
- 契約が軽い
- 設定が単純
- 人に依存しない
高機能=正解ではありません。
まとめ:SaaSは「入れるか」ではなく「今のステータスで必要か」

SaaS導入は、正しいか/間違っているか、ではありません。
タイミングの問題です。
新規事業において最悪なのは、「よさそうだから入れた」という判断。
一番強いのは、「今は入れないと決めた」という判断です。
この考え方を前提に、SaaS導入をどう判断するかはフェーズや目的によって変わります。
具体的な判断軸は、以下の記事で整理しています。
▶ 新規事業フェーズ別|SaaSを入れていい条件・まだ早い条件

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