
新規事業で「管理した瞬間に売れなくなる」理由
新規事業で営業活動が始まると、よく出てくる声があります。
「商談が増えてきたし、SFA(営業管理ツール)を入れた方がいいのでは?」
一見すると合理的な判断に見えますが、新規事業においてSFAは入れた瞬間に“売れなくなる”引き金になることがあります。問題はツールの性能ではありません。営業がまだ型になっていない段階で、型を強制してしまうことです。
この記事では、新規事業のフェーズ別に、SFA(営業管理ツール)を入れてはいけない理由と、検討してよい条件を整理します。
※本記事は、以下の考え方を前提にしています。
→ 新規事業フェーズ別|SaaSを入れていい条件・まだ早い条件
フェーズ0|検証前(営業方法が定まっていない段階)
このフェーズでは、営業そのものが実験です。誰に売るかが揺れており、何を刺しに行くかも毎回違い、商談フローは存在しません。
この状態でSFAを入れると、ステータス定義ができず、商談がツールに合わなくなり、「入力できない営業」が排除されていきます。SFAは営業フローが決まっている前提のツールです。決まっていない段階で入れると、営業活動ではなく管理に合う営業だけが残る状態になります。
フェーズ1|属人的営業フェーズ
初期の新規事業では、営業はほぼ属人的です。創業者が売り、ヒアリング内容は人の頭にあり、勝ち筋は感覚的に掴まれています。
この段階でSFAを入れると、商談後の入力作業が増え、「売る」より「記録する」が優先され、感覚的な判断が数値に押し潰されます。その結果、営業スピードが落ち、勝ち筋が見えなくなるという事態が起きやすくなります。
フェーズ2|勝ちパターンが見え始めた段階
ここで初めて、SFAを検討する意味が出てきます。商談の流れがある程度固まり、同じ判断や同じ失注理由が増え、情報共有がボトルネックになり始めた段階です。
このフェーズでは、「営業人数が増えたから」ではなく、管理しないことで何が困るのかを言語化できているかが重要です。商談ステータスをどう分けたいのか、何を可視化したいのか、なぜそれが必要なのか。ここが明確であれば、SFAは営業を縛るツールではなく、判断を助けるツールになります。
フェーズ3|組織営業・スケール段階

メンバーが増え、引き継ぎが発生し、再現性が求められる段階では、SFAが本来の力を発揮します。属人性を減らし、ボトルネックを可視化し、組織として改善できるようになります。
この段階で初めて、SFAは売上を伸ばすための道具になります。
SFAは「早く入れた方がいい」ツールではない
SFAは「営業が始まったら入れるツール」ではありません。営業の型が固まったあとに使うツールです。
新規事業では、管理を早めるほど現場の学習が止まります。正解を管理するより、間違いから学べる状態を残すこと。それが、新規事業におけるSaaS導入判断の本質です。

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