BI(ダッシュボード)はいつ入れるべきか?

早すぎるBI導入で数字に迷う状態のイメージ

新規事業で「数字を見始めた瞬間に迷走する」理由

新規事業で少し動きが出てくると、こんな声が聞こえてきます。

「進捗を可視化したい」「数字で判断できるようにしたい」「そろそろBI(ダッシュボード)を入れるべきでは?」

一見、極めて正しい判断に見えます。ですが新規事業では、BIを入れたことで意思決定が遅くなり、迷走が始まるケースが少なくありません。問題は可視化そのものではなく、“見るべき数字がまだ決まっていない段階で、数字を見に行ってしまうこと”です。

この記事では、新規事業のフェーズ別に、BI(ダッシュボード)を入れてはいけない理由と、検討してよい条件を整理します。


※本記事は、以下の考え方を前提にしています。
新規事業フェーズ別|SaaSを入れていい条件・まだ早い条件


フェーズ0|仮説検証前(何が重要か分かっていない段階)

この段階では、事業の成否を分ける指標そのものが定まっていません。

  • 何がKPIになるか分からない
  • そもそも見るべき数字が仮説段階
  • 行動と結果の因果が見えていない

この状態でBIを入れると、何が起きるか。

なぜBIを入れてはいけないのか

  • 指標が増えすぎる
  • 数字を見ることが目的化する
  • 判断が遅くなる

BIは「正しい指標が決まっている前提」で使うツールです。決まっていない段階で入れると、考えるための材料ではなく、迷うための材料が増えます。


フェーズ1|初期運用フェーズ(動きはあるが安定していない)

ユーザーが少しずつ増え、売上や利用データが出始めるフェーズです。

  • 数字は取れるようになった
  • ただしブレが大きい
  • 何が本質的な変化か分からない

この段階でBIを入れると、日々変わる数字に振り回されやすくなります。

何が問題か

  • 一時的な変化を「意味のある変化」と誤解する
  • 数字を説明する会議が増える
  • 仮説検証のスピードが落ちる

新規事業に必要なのは、精緻な可視化ではなく、素早い仮説修正です。BIは、その邪魔になることがあります。


フェーズ2|再現性が見え始めた段階

ここで、ようやくBIを検討する意味が出てきます。

  • 重要指標が2〜3個に絞れている
  • 数字と行動の因果が見え始めた
  • 手作業での集計が負担になってきた

このフェーズでは、「何を見たいか」が明確になっています。

BIを検討してよい条件

  • 見るべきKPIが言語化されている
  • 数字を見て、次の行動が決まる
  • 可視化しないことで判断が遅れている

この条件が揃っていれば、BIは迷いを増やすツールではなく、判断を速めるツールになります。


フェーズ3|スケール・管理フェーズ

  • 複数の指標を横断的に見る必要がある
  • 組織で共通認識を持つ必要がある
  • 報告・判断のスピードが重要

この段階が、BIが本来の力を発揮するフェーズです。

  • 数字の共通言語ができる
  • 判断基準が揃う
  • 組織として動ける

ここで初めて、BIは経営判断を支えるインフラになります。


BIは「早く見れば正しくなる」ツールではない

BIは「数字を見たいから入れるツール」ではありません。判断基準が固まったあとに、判断を速くするためのツールです。

新規事業では、数字を見る前に考えることがあります。可視化を急ぐほど、考える順序を間違えやすくなります。

正しい数字を見るより、正しい問いを先に立てること。それが、新規事業におけるBI導入判断の本質です。


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