
新規事業フェーズ別・入れてはいけない理由
新規事業でCRM(顧客管理ツール)を検討するとき、多くの人がこう考えます。
「顧客が増える前に、ちゃんと管理できるようにしておこう」
一見すると、かなり“ちゃんとしている判断”に見えます。
ですが実際には、この判断が新規事業のスピードを落とし、意思決定を鈍らせているケースは少なくありません。
問題は、CRMが便利かどうかではありません。
「今のフェーズで、CRMを入れる意味があるかどうか」です。
この記事では、新規事業をフェーズ別に分け、
CRM(顧客管理ツール)を まだ入れてはいけない状態 と、
条件付きで検討してよい状態 を整理します。
※本記事は、以下の考え方を前提にしています。
→ 新規事業フェーズ別|SaaSを入れていい条件・まだ早い条件
フェーズ0|検証前(アイデア・仮説段階)
この段階では、そもそも「顧客」が定義しきれていません。
- 誰に売るのかが揺れている
- 課題仮説が複数ある
- ヒアリング内容も毎回違う
この状態でCRMを入れると、何が起きるか。
なぜCRMを入れてはいけないのか
- 管理項目の正解が存在しない
- 仮説が変わるたびに設計が壊れる
- 入力作業が思考を止める
このフェーズで必要なのは「管理」ではなく、仮説を壊しながら理解を深めることです。
CRMは「型がある前提」で使うツールです。
型がない段階で入れると、ツールが思考の足を引っ張ります。
フェーズ1|初期顧客獲得(属人的フェーズ)
少し顧客がつき始めると、次の欲求が出てきます。
- 情報が散らかってきた
- メモやチャットが増えた
- 「そろそろCRMかな…」と思い始める
ですが、この段階でも CRMはまだ不要 なことが多い。
なぜまだいらないのか
- 顧客数が少ない
- やり取りは人が覚えている
- スプレッドシートで十分回る
このフェーズで大事なのは、顧客を“管理”することではなく、“理解”することです。
CRMを入れると、
- 入力項目を埋めること
- ステータスを更新すること
が目的化しやすい。
結果として、顧客との会話より、ツールの整合性が優先されるという本末転倒が起きます。
フェーズ2|再現性の兆しが見えた段階

ここで、ようやく話が変わります。
- 顧客のパターンが見えてきた
- 同じ説明・対応が増えてきた
- 抜け漏れが「機会損失」になり始めた
この段階に来て、初めてCRMを検討する意味が出てきます。
CRMを検討してよい条件
以下が 言語化できているか が重要です。
- 管理したい顧客情報は何か
- なぜそれを管理したいのか
- 管理しないと何が困るのか
「顧客が増えたから」では足りません。
“管理しないことの不都合”が説明できるか が分かれ目です。
この条件を満たしていれば、CRMは「作業を増やすツール」ではなく、判断を助けるツールになります。
フェーズ3|拡張・スケール段階
- メンバーが増える
- 情報共有が必要になる
- MAやSFAと連携したくなる
このフェーズが、CRMが本領域で力を発揮する段階です。
- 属人化を防げる
- 判断スピードが上がる
- 組織として動ける
ここではじめて、CRMは「投資対効果が出るツール」になります。
CRMは「早く入れるほど良い」ツールではない
CRMは、「顧客が増えたら入れるツール」ではありません。
「顧客理解の型が固まったあとに使うツール」です。
新規事業では、
管理を早めるほど、思考が遅くなることがあります。
正解を急ぐより、間違えない判断を積み重ねること。
それが、このサイトが伝えたいSaaS導入の考え方です。

コメント