
新規事業を進めていると、あるタイミングで必ず出てくる言葉があります。
「そろそろMA(マーケティングオートメーション)入れた方がいいですよね?」
この一言が出た瞬間、事業が加速するケースもあれば、
逆に一気に失速するケースも少なくありません。
問題は、MAそのものではありません。
MAを「入れる理由」と「入れるフェーズ」を間違えることです。
この記事では、新規事業で「とりあえずMA」を入れて失敗する典型パターンと、
MAを入れてもよい条件を整理します。
※ 本記事は、以下の記事を前提にしています。
▶ 新規事業フェーズ別|SaaSを入れていい条件・まだ早い条件
そもそもMAは「強い事業をさらに強くする道具」
MAは魔法のツールではありません。
正確に言うと、前提条件が揃っている事業だけを効率化する道具です。
MAが本領を発揮するのは、次のような状態です。
- 顧客像が明確
- メッセージが固まっている
- 同じ導線を何度も回している
- 人の作業がボトルネックになっている
逆に言えば、これらが揃っていない状態でMAを入れると、
「自動化された混乱」が生まれます。
失敗パターン①:誰に送るかが決まっていない
MA導入直後によくあるのが、
- セグメントが切れない
- タグ設計が曖昧
- 結局「全員に同じメール」を送る
という状態です。
この段階では、MAは単なる高機能メルマガ配信ツールになります。
しかも設定は複雑で、学習コストだけが積み上がる。
顧客理解が浅いままの自動化は、ノイズを量産するだけです。
失敗パターン②:施策が固まっていない
「とりあえずステップメールを作ろう」
「ナーチャリングを回そう」
この“とりあえず”が危険です。
- どの行動をトリガーにするのか
- どこで判断を変えるのか
- 何をゴールにするのか
これが曖昧なままMAを入れると、
ツールに合わせて施策を考えることになります。
施策が主で、ツールが従。
この関係が逆転した瞬間、現場は疲弊します。
失敗パターン③:「入れた感」で安心してしまう
MAは「ちゃんとやっている感」を強く演出します。
- 画面がそれっぽい
- フロー図が描ける
- KPIも設定できる
その結果、
「まだ事業は弱いけど、仕組みはできている」
という危険な錯覚が生まれます。
本来向き合うべきは、
顧客との会話、失注理由、刺さらないコピーです。
MAを入れてもいい条件(最低ライン)
では、どんな状態ならMAを入れてもよいのか。
最低限、次の条件は揃っている必要があります。
- 同じ営業・マーケ施策を3ヶ月以上回している
- 手作業が明確なボトルネックになっている
- 成功パターンと失敗パターンが言語化できている
- 「なぜこのMAが必要か」を1文で説明できる
この状態なら、MAは判断を奪う道具ではなく、負荷を減らす道具になります。
まとめ|MAは「遅すぎる」くらいがちょうどいい

新規事業において、
MA導入が早すぎて得をするケースはほとんどありません。
むしろ、
- 入れるのを我慢する
- 手作業で限界を感じる
- それでも同じことを何度もやっている
この状態になってから入れる方が、
結果的に最短ルートになります。
MAは、事業が整ってから入れるもの。
整っていない事業を整えてくれるものではありません。
次の記事予告
次は、もう一段踏み込みます。
「CRMを入れた瞬間に営業が壊れる新規事業の共通点」
SaaS導入で“部分最適”が起きる瞬間を解剖します。

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